タイ下院選 赤vs黄、対立の構図変わらず 

タイのプラユット軍事政権は今月24日、2011年来初めての議会下院選挙を実施した。民主化を求める国内外の圧力に屈したかたちだが、事前の予想に反し、プラユット首相の続投を目指す軍政派の新党、パランプラチャーラット党が得票数で1位となり、衝撃が走った。

各党の暫定得票数(開票率94%)は多い方から順に、パランプラチャーラット党794万票、軍政と対立するタクシン元首相派のプアタイ党742万票、反軍政の新党、新未来党587万票、反タクシン派の民主党370万票、旗幟を鮮明にしていないプームジャイタイ党351万票だった。タクシン派は2001年以来初めて、下院選で得票数1位を逃した。

ただ、東北部と北部の住民、バンコクの中低所得者層を中心とするタクシン元首相支持者と民主化勢力を合わせた「赤派」(プアタイ党、新未来党)、貧困層や東北住民などの政治参加を拒む保守勢力「黄派」(パランプラチャーラット党、民主党)という色分けで得票数をみると、実は大きな変化は起きていないようだ。

2001年以降の下院選はタクシン派政党と民主党という2大政党の対決が続いた。2006年のクーデターでタクシン政権を打倒した軍政が民政移管のため実施した2007年の下院選はタクシン派政党の得票数1234万票に対し民主党1215万票と僅差になった。タクシン派デモ隊によるバンコク都心部の長期占拠、治安部隊による強制鎮圧という重大事件の1年後に行われた2011年の下院選はプアタイ党1575万票、民主党1144万票だった。

今回の下院選は、プアタイ党と新未来党で計1329万票、パランプラチャーラット党と民主党で計1164万票で、同じ陣営のプアタイ党から新未来党に、民主党からパランプラチャーラット党に票が流れたと考えると、説明がつきそうだ。

パランプラチャーラット党は権威主義的な政治体制による政治社会の安定、新未来党は軍の改革とクーデターの再発防止、民主的な憲法の制定など、それぞれ「黄派」、「赤派」の主張を民主党、プアタイ党より先鋭化させている。両党が支持を集めたことで、両派の対立はこれまで以上に深まる恐れがある。

「赤派」はタクシン政権(2001―2006年)で誕生した。それまで政治意識が薄かった東北部や北部の住民、貧困層が、タクシン政権のばらまき政策で恩恵を被り、投票で生活が変わることを知った。以来、タクシン元首相の忠実な支持者となり、それまで地方を無視してきた中央と対立するようになった。シンボルカラーは共産主義を思い起こさせる「赤」。

数でまさる「赤派(=タクシン派)」は2001年、2005年、2007年、2011年と下院選で勝ち続けた。一方、旧貴族階級や富裕層、バンコクの中間層を中心とする「黄派」は、自分たちの「使用人風情」が選んだタクシン派政権に支配されることに強烈な反感を抱き、軍と司法、デモを駆使して反撃。2006年には大規模デモからの軍事クーデター、2008年には憲法裁判所によるタクシン派政党解党、2014年には再度、大規模デモからの軍事クーデターで、タクシン派政権を打倒した。同派の支持者はデモなどの際、故プミポン前国王の誕生日の色である「黄色」の服を着る。「赤派」を「赤い水牛」と呼び侮蔑することもある。
(newsclip.be 2019年3月26日 03時21分)

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軍政下のタイ、24日に8年ぶり下院選 外資への影響は

2011年以来初のタイ議会下院(定数500)総選挙が24日に投票日を迎える。即日開票され、同日中に大勢が判明する見通しだ。

2014年の軍事クーデターでタクシン元首相派の政権を倒し発足したプラユット軍事政権が、民主化を求める国内外の圧力を受け、下院選の実施を受け入れた。

選挙はプラユット首相(元陸軍司令官)の続投を目指す軍政派・反タクシン派と民政復帰を掲げるタクシン派が正面衝突する構図だ。反タクシン派は軍政派の新党であるパランプラチャーラット党とタイ最古の政党で保守派の民主党に票が分かれ、タクシン派は裁判所による自派政党の解党で勢力をそがれるなど、情勢は混沌としている。

ただ、軍政が作成、施行した新憲法の規定で、軍政が議員を事実上選任する議会上院(定数250)が議会下院とともに首相指名選挙で投票するため、軍政派・反タクシン派は下院で130議席程度を確保すれば政権を維持できる。下院選自体もタクシン派のプアタイ党など大政党に不利な制度に変更されたため、全体的な状況は軍政派・反タクシン派が優位とみられる。

また、軍政派・反タクシン派は、政府の介入が排除された国家内国家的な立場の軍をコントロールする上、新憲法を通じ、上院、司法などに影響力をふるう。憲法改正は条件が非常に厳しく、タクシン派が政府を樹立したとしても、軍政派・反タクシン派に包囲されたかたちで、政権運営は困難だ。

タイではタクシン政権(2001―2006年)以来、東北部と北部の住民、バンコクの中低所得者層の支持を集めるタクシン派と、伝統的な富裕層、南部住民とバンコクの中間層を中心とする反タクシン派の抗争が続き、政治社会が混乱している。反タクシン派が重視する伝統的な階級民族秩序に東北部、北部の住民と低所得者層が挑戦する形で、タクシン派が2001年以来、すべての下院選で勝ち続ける一方、反タクシン派は軍と司法、デモを駆使してタクシン派政権をひっくり返し、事態が収拾するめどは立っていない。

両派の対立が外国資本や外国人の排斥につながったことはなく、下院選で軍政派・反タクシン派、タクシン派のいずれが政権を発足させても、外国企業や在住外国人への対応に大きな変化はないとみられる。ただ、軍政によるたがが外れることで、両派の対立が激化し、将来的にバンコクなどで大規模はデモが発生する可能性はありそうだ。

《主要政党の動向》

■タクシン派、王女擁立で自爆

タクシン派のプアタイ党は有力女性政治家のスダーラット元保健相、バンコク都民や若者に人気のチャチャート元運輸相ら3人を首相候補に擁立し、選挙戦に臨んだ。

タイ国立開発行政研究院(NIDA)が2月に実施した政党支持率調査(回答者2091人)では支持率36.5%と1位で、下院で第1党になると予想される。ただ、軍政との対決姿勢をみせる新未来党、セーリールワムタイ党と組んでも、政権樹立に必要な376議席の獲得は困難とみられる。

タクシン派は今回の下院選で、比例代表制の変更に対応し、中核となるプアタイ党のほかに、タイラクサーチャート党など衛星政党を立ち上げ、議席の取りこぼしを減らす作戦に出た。しかし、タイラクサーチャート党の首相候補として、ワチラロンコン国王の姉のウボンラット王女を擁立した結果、憲法裁判所が今月8日、立憲君主制に敵対する行為を禁じた政党法に違反したとして、タイラクサーチャート党に解党処分を下した。タイラクサーチャート党から出馬した候補者は全員が立候補取り消しとなり、タクシン派の選挙戦略は崩れ去った。

ウボンラット王女の擁立は、成功すれば、王室を中心とした階級民族秩序を重視する反タクシン派を無力化し、情勢を一変させる奇策だったが、立憲君主制に反する行為として国王が反対し、とん挫した。ただ、ウボンラット王女がタクシン派についたという事実は残り、タクシン派を勇気づけそうだ。

■軍政派、上院票で優位

プラユット首相の続投を目指す軍政はパランプラチャーラット党を結党し、選挙戦を戦った。同党はウタマ工業相が党首、ソンティラット商務相が幹事長を務めるなど軍政の4閣僚が参加(選挙活動中に閣僚を辞任)。NIDAの2月の政党支持率調査では支持率22.6%と2位だった。

首相指名選挙で勝利するには、上院の250票に下院で126議席以上を上乗せする必要があるが、単独で126議席を得るのは困難で、同じ反タクシン派陣営の民主党か、プームジャイタイ党など旗幟を鮮明にしていない中小政党と連立を組む必要がありそうだ。

■民主党、アピシット党首の首相復帰狙う

民主党は同じ反タクシン派の票をパランプラチャーラット党に食われ、苦戦が伝えられる。NIDAの2月の政党支持率調査では支持率15.2%と3位。地盤の南部で反軍政の新未来党の急追を受けているとも報じられた。ただ、次期政権は同党がパランプラチャーラット党、プアタイ党のどちらにつくかで決まるという見方があり、動向が注目を集めている。

同党のアピシット党首(元首相)は今月に入り、(1)プラユット首相の続投を支持しない(2)パランプラチャーラット党との連立は排除しない(3)プアタイ党との協力には否定的(4)民主主義を制限する現行憲法の改正に前向き――という立場を表明した。(1)(4)はタクシン派・反軍政派の各党と同じ、(2)(3)は反タクシン派という立ち位置だ。

パランプラチャーラット党はプラユット首相以外の、民主党はアピシット党首以外の首相候補を登録していないため、パランプラチャーラット党が民主党と連立を組むためには、プラユット首相の続投を断念し、アピシット党首の首相就任を支持する必要がある。一見無理な要求のようだが、反タクシン派陣営にとって、意外に都合のいい解決策という見方もある。まず、アピシット党首が首相になれば軍政色が薄れ、対外的なイメージが好転する。また、2008―2011年のアピシット政権は民主党、プームジャイタイ党などの連立で、今回似たような組み合わせとなっても、意思疎通は比較的円滑とみられる。プラユット首相自身はアピシット政権で陸軍第1管区司令官、陸軍司令官を歴任した。
(newsclip.be 2019年3月22日 13時42分)

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新政権でのプラユット首相続投 「可能性高くなった」との指摘も

プラユット暫定首相を首相候補としている国家国民の力党(パランプラチャラット党)が総選挙で大勝する可能性は低いとの見方が支配的だが、関係筋によれば、プラユット首相が総選挙後に首相に選ばれる可能性は以前に比べて高くなっているという。

これは、国家国民の力党のライバルである民主党とタイ貢献党の立候補者の中で総選挙後の首相選びにおいて自党の首相候補を選ばずにプラユット氏を首相に選ぶ可能性を示唆する者が増えているためだ。

民主党ではアピシット党首がプラユット首相の続投に反対を表明しており、また、タクシン派のタイ貢献党は反軍部を明確にしており国家国民の力党とは水と油の関係。しかし、これら2党では少なからぬ下院議員当選者が安定した連立政権を構えることや国が抱える問題の解決を優先してプラユット首相を新首相に推すことも予想されるという。

総選挙後の首相選びは、下院議員500人と上院議員250人が得票数が5%以上の政党の首相候補の中から投票で選ぶという形で行われる。
(バンコク週報 2019年3月21日)

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タイ総選挙投票日直前!3月22日に各地で主要政党の演説会、近づかないように

クーデターによってできたタイの軍事政権が終わりを告げる2019年3月24日(日)のタイ総選挙本投票日。各政党は最後の力を振り絞り、3月22日にはバンコク都内各地で、演説会を行います。

在タイ日本国大使館は、主要政党による演説会のスケジュールを示し、出来るだけ近づかないように注意を呼びかけています。

・主要政党による演説会(3月22日(金))

3月22日(金),バンコク都内各地にて,主要政党が選挙に向けての最終演説会を行うとの情報があります。それぞれの開催時間及び場所は以下のとおりです。

1.タイ貢献党
日時:3月22日(金)16時頃
場所:タイ日スタジアム(Thai-Japanese Stadium,ディンデーン区のバンコクユースセンター(Bangkok Youth Center)内にある競技場))

2.民主党
日時:3月22日(金)16時頃
場所:バンコク都庁前(Bangkok Metropolitan Administration,プラナコーン区ディンソー通り)

3.国民国家の力党
日時:3月22日(金)時間不明
場所:テープハサディンスタジアム(Thephasadin Stadium,BTSナショナルスタジアム駅近く)

4.新未来党
日時:3月22日(金)17時頃
場所:タイ日スタジアム(Thai-Japanese Stadium,ディンデーン区のバンコクユースセンター(Bangkok Youth Center)内にある競技場))

つきましては,在留邦人及び旅行者の皆様におかれましては,不測の事態に巻き込まれることのないよう,最新の関連情報の入手に努めるとともに,可能な限り会場及びその周辺には近づかない等,安全確保に十分注意を払って下さい。

(問い合わせ先)
○在タイ日本国大使館領事部
電話:(66-2)207-8500,696-3000
FAX :(66-2)207-8511
所在地: 177 Witthayu Road, Lumphini, Pathum Wan, Bangkok 10330
(ウィタユ通り,ルンピニー警察署とMRTルンピニー駅のほぼ中間)
(タイランドニュース 2019年3月20日)

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選挙戦ヒートアップ 大幅な賃上げ公約に経済団体が猛反対

総選挙を数日後に控え選挙運動がヒートアップしているが、複数の政党が「最低賃金の大幅な引き上げ」を公約として掲げていることに対し、国内最大の経済団体であるタイ工業連盟(FTI)はこのほど、「大幅な最低賃金の引き上げに反対する。中小企業が最も打撃を受けることになる」と警鐘を鳴らした。

現在の1日当たり法定最低賃金は都県別で308バーツ、310バーツ、315バーツ、318バーツ、320バーツ、325バーツ、330バーツに設定されており、最高額がチョンブリ、ラヨン、プーケットの3県、最低額がナラティワート、パタニ、ヤラの3県となっている。

国民国家の力党が400~425バーツ、タイ貢献党が400バーツ、民主党が400バーツを最低賃金として公約するなど票集めに奔走しているが、FTIでは「過去数年にわたって最低賃金が引き上げられていて現在すでに最低賃金が高く、大幅な引き上げは不要」としている。
(バンコク週報 2019年3月19日)

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